mindfulness stress 低減法 (MBSR)
mindfulness-based stress reduction
呼吸法
正式な training
1. あおむけに寢るか、あるいは椅子に座るか、どちらか樂な姿勢を選んでください。座る場合は、背筋をまっすぐに伸ばし、肩を落として、肩の力を拔いてください。
2. 目を閉じたはうが氣持ちがいいと思ふ人は、目を閉じてください。
3. 息を吸い込んだときは靜かにふくらみ、息を吐いたときは引っこむのを感じながら、腹部に注意を集中してください。
4. まるで自分の呼吸の波乘りをしてゐるやうに、息を吸いこんでゐるあいだも、息を吐きだしてゐるあいだも、呼吸のすべての瞬閒に注意を集中してください。
5. 自分の心が呼吸から離れたことに氣がついたら、そのたびに呼吸から注意を反らせたものは何かを確認してから、靜かに腹部に注意を戾し、息が出たり入ったりするのを感じとってください。
6. 心が呼吸から離れてほかのことを考へ始めるたびに、呼吸に注意を引き戾すのがあなたの仕事です。どんなことに氣をとられやうとも、そのたびに注意を呼吸に引き戾してください。
7. この exercise を每日都合のいい時閒に十五分閒行ってください。氣乘りがしなくても、とにかく一週閒續け、生活の中に瞑想法を組み入れることによって、どんなふうに感じるかを觀察してください。また、每日一定の時閒を何もせずに自分の呼吸にだけ集中してすごすといふことについて、どんなふうに感じてゐるかを意識してください。
ふだんの training
1. 一日の內何囘か、呼吸に注意を集中します。一度づつ、あるいは2度づつ息を吸ったり吐いたりするたびに、腹部を空氣が通過し、ふくらんだり引っこんだりするのを感じてください。
2. 注意を集中してゐる瞬閒瞬閒に、わいてくる思ひや感じに氣をつけてください。さういふ思ひや感じ、あるいはさういふ思ひや感じを受けとめてゐる自分に對して評價はくださずに、ただ觀察してください。
3. また、ものごとに對する見方や自分に對する感じ方になんらかの變化が生じた場合も、見落とさないでください。
靜座瞑想法
1. 呼吸と共に座る
1. 少なくとも一日一囘、最低十分は、背筋をまっすぐに伸ばして、樂な氣持ちで、自分の呼吸に注意を集中してください。
2. 自分の心が呼吸から離れたことに氣がついたら、そのたびに心の行き先を觀察し、そのあとで自分の腹部と呼吸に注意を引き戾してください。
3. 三十分以上座ってゐられるやうになるまで、すこしづつ時閒をのばしていってください。とはいっても、本當に、"今" といふ瞬閒だけを生きてゐれば、時閒など存在しなくなるはずです。
2. 呼吸と體の一體感を味はひながら座る
1. ある程度の時閒、呼吸に注意を集中する自信がついたら、座ってゐる自分の體と呼吸は一體であるといふ感覺を意識しながら、呼吸や腹部の "周邊" にまで意識を擴げてみてください。
2. 座りながら、體が呼吸してゐるといふ意識を保ってください。そして、心がさ迷ひだしたら、座って呼吸してゐる體に注意を引き戾してください。
3. 音と共に座る
1. 瞑想してゐるあいだ、音だけを聞くやうにしてください。音を聽きとらうとするのではなく、今の瞬閒に耳に入ってくる音を聞くのです。その音を判斷したり、その音について考へてはいけません。ただの純粹な音として聞き、音と音のあいだの靜寂も聞いてください。
2. これは、音樂を聞きながら練習することもできます。音樂の場合でも、訪れてくる音を聞き、音と音のあいだの空閒も聞くやうにします。息とともに音を體の中に吸いこみ、息を吐きだすときは音を外に流しだすつもりで呼吸してみてください。自分の體が音に對して開放されてゐて、毛穴を通じて音が出たり入ったりしてゐるといふ image を作ってください。
4. 心の中の思ひと共に座る
1. 呼吸に對する注意が比較的安定してきたら、今度は、心の中の考へや思ひの process 自體に意識を向けてください。呼吸から離れて、浮かんでくる思ひや考へに注意を向けて、ひたすら觀察してください。
2. さうした思ひや考へを心の中の "出來事" として感じとるやうにしてみてください。
3. できるだけ、その考へについて考へたり、次の考へについて考へたりといふやうに、引きこまれていかないでください。そして、自分が觀察してゐるのは、考へが浮かんでくる process だといふ點を忘れずに、その考へや思ひの內容に注目してください。
4. 一つひとつの思ひといふものは長く續かないといふ點に氣づくやうにしてください。かういふ思ひは、浮かんできたと思ふとどこかへ行ってしまふ、一過性のものなのです。この點に注意してください。
5. 一度離れていった思ひがまた戾ってくる場合があります。さういふときは、どんなふうに戾ってくるのかに注意してください。
6. "私が" とか "私を" とか "私の" といったやうに、"私" が中心になるやうな思ひに注意し、それに對して "あなた" がどんなふうに感じてゐるかを注意深く觀察してください。
7. 心の中に、自分の人生を、"良い人生だ" とか "惡い人生だ" などといふ思ひにとりつかれてゐる "自分" がゐるかだうか、注意してください。
8. 過去や將來に關する思ひに注意してください。
9. 何かを貪欲に求めたり、切望したり、手に入れたいと思ったり、執着したり、といった思ひに注意してください。
10. 怒ったり、嫌ったり、憎んだり、嫌惡したり、拒否したりといった思ひに注意してください。
11. 心の中に去來する感じや氣氛に注意してください。
12. 一つひとつの思ひに關聯して生じてくる氣持ちに注意してください。
13. これまでのすべての思ひが過ぎ去ったら、呼吸に注意を戾してください。
5. あるがままの意識と共に座る
1. 何もせずに、何にも集中せずに、ただ座ってゐてください。何かに執着したり、何かを求めてはいけません。意識を完全に開放し、意識の領野に入ってきたものはすべて受け入れ、去っていくものは去るにまかせて、それをじっと觀察する練習をしてください。
body scan
1. まず、あおむけになります。床でも bed でもかまひませんが、完全に目覺めてゐる狀態でなければなりません。橫になると眠ってしまふやうでは困ります。そして、部屋は、適度な暖かさを保ってください。もし、部屋が寒いやうなときは、毛布をかけてください。
2. 靜かに目を閉じてください。目を閉じると眠ってしまひさうなときは、目を開けて結構です。
3. 息を吸ったり吐いたりするたびに、腹部が上下するのを感じてください。
4. 足の先から頭まで、體全體が "一つになり"、それを皮膚が包んでゐるといふ image を作ってください。そして、床でも bed でも、體が觸れてゐる部分の感觸を感じとってください。
5. 注意を左足のつま先に持っていきます。つま先に注意が集まったら、今度はその足先に向けて呼吸をしてください。まるで、つま先を通って息が出たり入ったりしてゐるかのやうに感じるはずです。このコツをのみこむまでにはすこし時閒がかかるかもしれません。鼻から肺に息が入り、その息が腹部を通って左足に入ってつま先に達し、同じ道筋をたどって鼻から出ていく、といふ image を作るとやりやすいかもしれません。
6. 兩足のつま先から生じてくる感覺をすべて感じとってください。おそらく左と右では、別々の感覺が感じとれるはずです。もし、この瞬閒に何も感じられなければ、それはそれでかまひません。"何も感じられない" といふ感じを味はふやうにしてください。
7. 充分につま先に集中したら、注意を動かします。つま先まで屆くぐらい深く息を吸いこみ、それを吐きだすときに、自分の "心の目" からつま先の意識を消し去ってください。そのあと、少なくとも二、三囘息をしながら呼吸に集中し、足の裏、かかと、甲の順番で注意を動かし、次に足首に動かします。それぞれの場所で、生じてくる感覺を觀察しながら、そこで呼吸をしてゐるといふ image を作ってください。これができたら、その場所を離れ、次の場所に移ります。
8. 注意力が散漫になったら、呼吸法や靜座瞑想法の要領で、注意をいったん呼吸に戾し、それから注意を集中してゐる場所に戾してください。
9. 呼吸に集中したまま、注意をゆっくりと左足に移し、續いて體のほかの部分に移してください。注意を集中したそれぞれの部分の感覺を感じとり、その部分とともに呼吸し、それから次に移ります。もし、どこかに痛みがあるやうな場合は、この章でお話したやうな方法で行ってください。
10. 一日に一度は、この body scan を行ってください。
11. body scan は、clinic を訪れた患者たちが、最初に行ふ正式な瞑想 training です。彼らは最低二週閒、週に六日閒、一日四十五分閒、集中的にこの training を行ってゐるといふことを忘れないでください。
軟酥の法
yoga 瞑想法
1. 床の上の mat を敷き、あおむけになります。あおむけが無理な場合は、ほかの姿勢でもかまひません。
2. 吐いたり吸ったりする息の流れに注意を集中し、そのたびに腹部が上がったり下がったりするのを感じてください。
3. 頭からつま先まで、體全體が一つになり、それを皮膚が包んでゐるといふ image を作ってください。そして、床に觸れてゐる部分の感觸を感じとってください。
4. 靜座瞑想や body scan と同じやうに、"今" といふ瞬閒に注意を集中してください。心がさ迷ひだしたら、何に心を奪はれたのかをはっきり意識したうへで、それをとき放ち、心を "今" といふ瞬閒に戾してください。
5. 圖 6・圖 7 にあるさまざまな pose にできるだけ近い pose をとってみてください。そして、腹部の呼吸に注意を集中するあいだ、pose をそのままに保ってください。
6. pose をとってゐるときは、體のいろいろな部分の感覺に注意を向けてください。できれば、特定の stretch や pose をとったときに、最も強い感覺が生じた部分に向けて、息を吸ったり吐いたりしてみてください。かうすると、非常に relax してきます。また、自分の感じてゐる感覺と一緒に呼吸することができます。
7. どこか具合の惡い部分があって、やらないはうがいいと思ふ場合は、その pose を飛ばしてかまひません。stress clinic の患者で首や背骨に問題がある人たちの話では、少なくともいくつかの pose は大丈夫だといふことです。しかし、うづれにしても、彼らは絕對に無理に押したり引っぱったりしないやうに、細心の注意をはらって行ってゐます。yoga は、意識を集中して、ゆっくりと何度もくり返しながら徐々に進めていけば、惡い部分を癒す力がありますが、無理に速く行ったりすると、逆に筋肉を痛めたり、せっかく良くなりかけたものを惡化させたりすることになります。
8. 自分自身と競爭しよう、などとは思はないでください。もし、そんな考へがわいてきたら、その考へを意識的にとらへ、とき放ってください。yoga の精神は、"今" といふ瞬閒の中の自分をすべて受け入れるといふところにあります。
自分の體を尊󠄁重しながら、ゆっくりと、優しく、自分の限界を探すやうにしてください。今度の夏は水着をかっこよく着たいからなどといって、體の限界を無視してはいけません。yoga を續けてゐれば、自然にやせる場合もありますが、"今" といふ瞬閒の自分の體の限界を無理に超えようとすると、かへって自分自身を傷つけることになってしまひます。そして、yoga を續ける氣力がなくなり、無理をした自分の態度を反省するどころか、yoga のはうを非難するやうになってしまふのです。樂しいと思ひ込むと夢中になってやりすぎてしまったり、逆にたいした成果が現はれないと言ってすぐにやめてしまふ type の人もゐます。さういふ人は特に注意してください。
9. 圖には示してゐませんが、一つの pose から次に移るときには休みをとるやうにしてください。そのときの pose に合はせて、あおむけでも、立ってゐても、樂な姿勢で休憩してください。休んでゐるあいだは、腹部がゆっくりと動くのを感じながら、一つひとつの瞬閒の呼吸に注意を集中してください。床に橫たはってゐる狀態なら、息を吐きだして體が mat に深く沈むたびに、筋肉がゆるむのを感じてください。relax して、床にもっと深く沈みこみ、自分の呼吸のうねりに乘ってください。立った姿勢の場合でも、同じやうな方法で relax することができます。床に接してゐる足の裏の感覺を感じとり、息を吐き出すときに肩の力を拔いて、肩を落してください。橫たはってゐても、立ってゐても、筋肉がゆるみ relax してくると、あなたの中の思ひがすべてとき放たれ、呼吸のうねりに體をゆだねることができます。
10. yoga を行ふときには、次の二點を心にとめておいてください。
一つは、息を吐くときはどんな動きでも腹部と體の前面が收縮し、息を吸うときはどんな動きでも體の前面が膨張し、背面が收縮するといふ事です。たとへば、あおむけに寢て、片方の足を上げたとします。この場合、足を持ち上げるときは息を吐きだしてゐるはずです。しかし、腹ばいになって脚を上げる場合には、息を吸いこんでゐるはずです。ただし、これはあくまでも動かしてゐるときの話で、いったん足を上げてしまったら、呼吸の自然な流れを觀察するやうにしてください。
二つ目は、一つひとつの pose を、そのままで relax できる程度に長く保つといふことです。その pose に立ち向かっていったり、鬪ってゐる自分を發見したら、忘れずに呼吸に注意を集中してください。最初は無意識のうちに頑張ってしまふかもしれませんが、しばらくすると、體のはうが覺えて relax できるやうになり、もっと深くその pose に入ることができるやうになります。
息を吸うと、自分の體があらゆる方向にわずかにふくらみ、また、息を吐くと、引力を感じながら、その pose の中に深く沈んでいきます。使はなくていい筋肉は、できるだけ使はないやうにしてください。たとへば、顏が引きつってゐると感じたら、顏だけを relax される練習をしてください。
11. どんな場合でも、自分の體ができることと "これ以上は無理" といふ境目を見きはめて、體の限界を超えない範圍で行ってください。痛みを感じるほど體を伸ばしてはいけません。限界ぎりぎりのところまで行ってみて、多少の不快感を感じるのは仕方ありませんが、damage がなく、しかも效果的な "stretching zone" をゆっくりと、注意を集中して探しておくやうにしてください。
步行瞑想法
八週閒 program
第一週と第二週 : body scan を中心に
第三週と第四週 : body scan と yoga 瞑想法を一日おきに
第五週と第六週 : 靜座瞑想法と yoga 瞑想法を一日おきに
第七週 : 自由な組みあはせで行ふ綜合 training
第八週 : あなた獨自の program 作り